腎内分泌代謝内科

診療内容

 腎内分泌代謝内科では、腎疾患、内分泌疾患、糖尿病等の幅広い疾患を診療しております。
腎疾患に関しては、慢性糸球体腎炎・ネフローゼ症候群等の原発性糸球体疾患の診断・治療に始まり、慢性腎臓病(CKD)の保存的治療、末期腎不全に対する腎代替療法の導入、透析患者の合併症管理に至るまで、シームレスに診療を行っております。腎代替療法については、血液透析や腹膜透析の導入だけでなく、移植外科と連携して生体腎移植にも積極的に関わっており、すべての治療の選択が可能です。また、シャントトラブルや二次性副甲状腺機能亢進症をはじめ、さまざまな内科的・外科的合併症を併発した透析患者について、移植外科をはじめとした関連診療科と共に入院治療を行っており、神奈川県西部から静岡県東部地域における維持透析患者に対する総合医療センターとしての役割を担っております。
 内分泌疾患に関しては、下垂体・副腎・甲状腺疾患を中心に外来診療を行っており、神奈川県内でも有数の施設となっております。
 糖尿病に関しては、早期の患者から腎症を中心とした合併症例まで一貫した治療を行っております。従来のインスリン療法だけでなく、インスリンポンプやフラッシュグルコースモニタリング(iCGM)等先進糖尿病治療を積極的に行っております。

主な対象疾患

1.腎疾患

 慢性糸球体腎炎・ネフローゼ症候群等の原発性糸球体疾患の診断・治療を行っております。さらに、糖尿病性腎症や、悪性腫瘍・膠原病等に伴う二次性糸球体疾患の診断・治療も行います。多発性嚢胞腎やアルポート症候群、ファブリー病等の遺伝性腎疾患については、近年は他の教育機関・医療機関と連携しながら遺伝子検査まで行い、診断に結びつけております。
急性腎障害(急速進行性糸球体腎炎を含む)や水・電解質異常についての診療も積極的に行っております。特に、カルシウム・リンを含むCKDに伴う骨・ミネラル代謝異常(CKD-MBD)や骨粗鬆症の診療については、日本有数の実績を有しております。また、腎代替療法導入を見据えて進行した保存期CKD患者の紹介も随時受け付けております。
末期腎不全に対しては、透析療法(血液透析・腹膜透析)、移植療法のどちらの腎代替療法も選択が可能です。また、在宅血液透析の導入も可能です。

2.内分泌疾患

 下垂体、副腎、甲状腺、副甲状腺、性腺とさまざまなホルモン産生臓器を対象に外来診療を行っております。当院ではこれらすべての内分泌検査や画像検査が可能です。内分泌疾患の診断で重要な内分泌負荷試験も積極的に実施しており、特に原発性アルドステロン症やクッシング症候群等の内分泌疾患が疑われる場合には検査入院を実施し、複数の内分泌負荷試験を実施して診断に結びつけております。また、内分泌疾患の治療では、内分泌臓器の手術が必要となることがありますが、脳神経外科、腎泌尿器科、耳鼻咽喉科・頭頸部外科等の外科系の診療科とこまめに連携をとりながら、迅速に治療に当たっております。

3.糖尿病

 糖尿病治療の目標は、血糖を良好にコントロールすることで、神経障害や網膜症、腎症等の細小血管合併症や、心筋梗塞や脳梗塞等の大血管合併症への進展を抑制し、健常人と変わらない日常生活を送れるようにすることです。そのために、まずは患者教育が重要と考えております。当院では糖尿病教育入院プログラムを実施しており、医師のみならず看護師、薬剤師、管理栄養士、検査技師、歯科衛生士、理学療法士が協力し、患者との対話を積極的に行って治療意識を高める工夫をしております。治療にあたっては、インスリン抵抗性、インスリン分泌不全、糖毒性といった病態を念頭に置きつつ、患者のライフスタイルを考慮して最適な治療薬を選択しております。強化インスリン療法やGLP-1受容体作動薬の注射製剤による治療を行う場合には、自己血糖測定機器としてフラッシュグルコースモニタリング(iCGM)を積極的に取り入れております。また、1 型糖尿病に対する治療実績も豊富で、インスリンポンプ(CSII、SAP)も多数導入しております。高血糖緊急症や重症低血糖に対する入院治療実績も豊富であり、慢性期のみならず急性期の病態にも対応しております。

主な診療実績

(2021年度)
・腎生検診断 143例(うち移植腎生検59例)
・腎代替療法を要する急性腎障害 119例
・血液透析導入 97例
・腹膜透析導入 4 例
・腎移植併診 23例
・内分泌疾患負荷試験 84例
・糖尿病教育入院 11例
・インスリン導入 167例
・糖尿病他科併診 770例
・糖尿病性ケトアシドーシス 11例
・新規1 型糖尿病 4 例
・インスリンポンプ管理数 45例
・フラッシュグルコースモニタリング(iCGM)導入数 108例

ご挨拶

 当科では、腎疾患、内分泌疾患、糖尿病等の幅広い疾患の患者様の診療を担当しております。腎部門では慢性糸球体腎炎やネフローゼ症候群の診断・治療だけでなく、悪性腫瘍・膠原病等の二次性糸球体疾患の診断・治療も行います。また、急性腎障害や水・電解質異常の治療、慢性腎臓病の管理において、豊富な診療実績を有しております。末期腎不全に対しては、血液透析や腹膜透析の導入だけでなく、移植外科と連携して生体腎移植にも積極的に関わっております。維持透析患者の合併症の治療にも、各診療科と連携し幅広い診療体制を有しております。特に、二次性副甲状腺機能亢進症に対する内科的・外科的治療については日本有数の実績があります。さらに、糖尿病、高血圧、脂質異常症などさまざまな生活習慣病を扱う代謝性疾患部門と、主にホルモンの異常を扱う内分泌疾患部門が協力し合い、幅広い患者様を診療しております。特に、糖尿病に関しては、合併症のない早期から進行した腎不全を合併する患者に至るまで一貫した治療が同一科内で実施できるという点が、他施設にはない特色と言えます。移植外科と緊密な連携のもと腎移植にも力を注いでおり、あらゆる患者様のニーズに応えられるよう診療体制を整えております。

腎内分泌代謝内科 診療科長
駒場 大峰

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