呼吸器外科

診療内容

 呼吸器外科では肺・縦隔・胸膜・胸壁などの胸部の外科疾患を担当しています。手術侵襲の軽減を目的として、小型肺癌、自然気胸、縦隔腫瘍などに対し、小さな手術創による胸腔鏡下手術(video assisted thoracoscopic surgery:VATS)を積極的に取り入れてきました。
胸腔鏡下手術video assisted thoracoscopic surgery(VATS)
1994年に二つの小さな皮膚切開創のみで手術を行う二窓法(two windows method)、さらに近年では一つの創のみで手術を行うone window & one puncture法を開発しました。従来の開胸創と比較し、美容的にはもとより、手術時間、術中出血量、術後の疼痛や呼吸機能の回復の面からはるかにすぐれています。これにより合併症のある患者さんや低肺機能の方、お年寄り・小児など、従来の手術方法では適応にならなかった患者さんでも安全に手術を受けることが可能になりました。

主な対象疾患

 原発性肺癌、転移性肺腫瘍、縦隔腫瘍、気胸、胸膜腫瘍(悪性胸膜中皮腫を含む)、漏斗胸、胸部外傷、肺気腫(肺容量減少手術 lung volume reduction surgery)、手掌多汗症(胸部交感神経遮断術)など

主な診療実績

 2010年1月から2019年12月までの10年間の呼吸器外科手術総数は3,267例(1年平均326例)、そのうち 2,269例(69.4%)が胸腔鏡下手術でした。術後30日死亡は0.1%でした。この期間における代表的疾患の手術 数は以下のようになっております。

原発性肺癌:

1,447例(1年平均144例)の手術を行いました。そのうち1,085例(74.9%)が胸腔鏡下手術でし た。術式別には部分切除176例(12.1%)、区域切除41例(2.8%)、肺葉切除(2葉切除を含む)1,207例(83.4%)、 片肺全摘21例(1.4%)となっています。

転移性肺腫瘍:

 333例( 1年平均33例)の手術を行いました。そのうち284例(85.2%)が胸腔鏡下手術でした。。

縦隔腫瘍:

 390例(1年平均39例)の手術を行いました。

自然気胸:

 354例(1年平均35例)の手術を行いました。全例胸腔鏡下手術で、多くは術後2 日の入院で社 会復帰が可能となっています。

胸膜腫瘍:

23例(1年平均2例)の手術を行いました。

漏斗胸:

66例(1年平均7例)の手術を行いました。金属製のバーを胸の陥凹部の側面より挿入し、陥凹部 を挙上する術式を行っております。小さな手術創だけで骨を切ることなく施行が可能となっており、低侵襲 な術式です。

胸部外傷:

 46例の手術を行いました。

ご挨拶

 私たちの扱う病気は、固い胸郭(肋骨、胸骨、脊椎などに囲まれている部分)と呼ばれる部屋(胸腔)の奥深くにある臓器の障害です。このため、どんなに小さな病巣を切除しようとしても、固い胸郭の一部に分け入って、胸の中に胸部外科医の手を入れながら手術をしなければなりませんでした。そのため、病気の部分に至るまでの傷は大きくせざるを得ない状態でした。この状況を解決する一つの手段が胸腔鏡技術の治療手術への導入だったわけです。新しいことに取り組むということに対する東海大学の環境やスタッフ、そしてなんと言っても患者さんや患者さんのご家族の熱い応援の中で患者さんにとって必要なことと信じ、技術開発をしてきました。いつの時代でも、これでもう良いというような決まってしまった手術手技はありません。胸部外科医の絶え間の無い努力が必要です。私たちの診療科ではより卓越した手術手技で患者さんにより快適な生活を広く提供して参ります。

呼吸器外科 所属長
岩﨑 正之

呼吸器外科 診療科長
増田 良太

医師一覧

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