細胞移植再生医療科

診療内容

細胞移植再生医療科は小児科領域のハイリスク白血病・再生不良性貧血などの血液難病や一部の先天性疾患に対する造血幹細胞移植において、移植適応の判定、至適造血幹細胞の選択とコーディネート、造血幹細胞移植の治療計画立案と移植管理、長期フォローアップを含む外来診療を行っています。造血幹細胞移植は血液学、腫瘍学、感染症学、輸血学、移植免疫学など多分野の知識を要する高度専門的医療であるために、一般小児科診療から特化した診療科として小児科と連携しながら診療を行っています。

主な対象疾患

通常の化学療法で治癒が期待し難いハイリスク白血病、重症あるいは最重症再生不良性貧血、先天性再生不良性貧血(ファンコニ貧血、先天性角化不全症、ダイアモンドブラックファン貧血、その他)、一部の先天性免疫不全(重症複合免疫不全、ウィスコット・アルドリッチ症候群、慢性肉芽腫症、その他)、一部の先天性代謝異常(ムコ多糖症の一部、副腎白質ジストロフィー、その他)に対する造血幹細胞移植。 造血幹細胞提供者(ドナー)についても、血縁ドナーの診療と適格性判定、骨髄採取術あるいは末梢血幹細胞採取、および採取後のフォローアップ、また骨髄移植推進財団の依頼を受けて、非血縁ボランティアドナーの確認検査、最終同意確認、術前評価とドナー適格性判定、骨髄採取術と採取後フォローアップを行っています。

主な診療実績

1982年3 月に最初の同種骨髄移植を成功させてから、2022年12月までに552例に対して628回の同種造血幹 細胞移植、48例の自家造血幹細胞移植を施行しました。この間、1993年9月にはHLA不一致ドナーから世 界最初の同種CD34陽性細胞移植を成功させ、1994年10月には国内最初のさい帯血移植を成功させています。 再生不良性貧血の診療においては日本の中心的役割を果たしており、先天性再生不良性貧血の移植は103回(代 表疾患であるファンコニ貧血の移植は87回)、後天性再生不良性貧血の移植は84回で、いずれも国内最多の 症例数と世界最高水準の成績を実現しています。その他、先天性代謝異常においても98回と国内最多の移植 を施行しています。

ご挨拶

造血細胞移植はハイリスク白血病や重症再生不良性貧血など、難治性血液疾患や先天性免疫不全症、先天代謝異常などの難病に対し、根治を期待しうる治療として行われています。造血細胞移植は血液学、免疫学、感染症学、輸血学など多方面に高度な専門性を要求される治療のため、細胞移植再生医療科は特殊診療科として独立し、移植に必要な専門性の高い検査などの基盤整備を行いつつ、小児科と連携して診療、研究にあたっています。再生不良性貧血などの骨髄不全症候群や先天代謝異常の移植は世界でも有数の症例数があり、患者さんは全国から紹介されるため、付き添いのご家族が滞在するための「かもめの家」が整備され、ボランティアによって運営されています。

細胞移植再生医療科 診療科長
矢部 普正

医師一覧

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