大船中央病院(神奈川)研修レポート

神奈川西部から東部へ、総合診療の基本を学びに行きました

大船駅を降り、駅前商店街の方面へ徒歩にて10分程度歩くと大船中央病院があります。伊勢原からは車で約1時間、電車で1時間半程度の距離であり、通勤も可能と思います。292床の急性期病院であり、主に鎌倉市大船地域および横浜市栄区周辺の1・2次救急を担っています。周囲は緑に囲まれ、とてものどかな雰囲気の外観です。コメディカルとの関係も密接であり、診療はとてもスムーズに行われている印象でした。医局も広く開放的で、隣の席が他科の上級医といったような環境であり、診療上のコンサルテーションもしやすい環境でした。

実際の研修内容

内科は大きく内科および消化器科に分けられ、自分は内科研修医として診療に参加しました。内科は消化器科以外の全ての内科疾患を担当し、その中に各専門の先生が在籍し専門的治療を行うといったシステムです。そのためチームは存在せず、主治医制の診療体制の中で、必要に応じてコンサルトしていくといった具合です。6-7月の研修では自分の担当患者さんは常に10人弱程度でしたが、冬場には20人を超えることもあるようです。

日常的には患者さんの所へ積極的に足を運び、所見を集めながら自分なりに必要な検査を組み立てて行います。またその結果に評価を加え自分なりの方針を立てて指導医と相談して治療を進めていきます。その分勉強もしないといけないし、必要な知識は調べる必要があります。大学病院はチームで行動することが多いため、仕事も責任も分散できる部分がありますが、大船の研修では人数も少ない分「自分がやらなければ」といった責任感が常に付いて回ります。

当直は4回/月程度で、大学での当直回数とほぼ同じです。2次救急の病院ということもあり当直帯の時間外外来は大学病院とは顔ぶれが違います。切創や虫刺され、めまい、発熱、乏尿など多彩です。また、当直医は研修医1人、内科系・外科系上級医が各1人ずつの3人体制であり、各科当直が常駐している大学病院とは大きな違いがあります。急を要する場合などは初めから上級医へコンサルトすることもありますが、基本的には全ての外来患者は研修医がfirst callを受け、ある程度診察を終了した段階で上級医へプレゼンテーションを行います。ディスカッションをしながら、帰宅か入院かの選択、場合によってはそのまま転院搬送の判断を行います。普段の大学での当直とは様子が全く違い大変な部分もありますが、いい経験をさせていただいたと思っています。

月曜日~水曜日までの3日間は、毎朝1時間程度のMorning Reportを救急外来で行います。研修医は持ち回りで、当直中に出会った症例のプレゼンテーションをしながらフィードバックをします。身体所見や検査項目など、なぜその所見をとったのか或いはとらなかったのか、検査結果からはどのように検査後確率が変わったのか、また外来では見落としていた所見など指導医の先生から、時には研修医から次々に質問や指摘が飛んできます。ディスカッションを通じて得られる知識も多く、大変勉強になります。また次回の当直のときには似たような症例を経験することも稀ではないため、実地で復習も兼ねて診療を行える点も効率的に思えました。

研修を終えた感想

看護師、薬剤師、理学療法士、言語療法士、メディカルソーシャルワーカーなど、多くのコメディカルの方々との交流の親密さも、大学病院とは大きく違います。地域で望まれている病院の役割も随分と違うことを肌で感じるでしょう。日本の高齢化社会と老年期医療についても深く考えさせられます。日々、目からウロコがいっぱいです。東海大学から離れたところでの研修は、確実に視野を大きく広げてくれます。この経験を通じて今後の医師としての思考や洞察が、間違いなく、豊かで幅広いものとなります。大学病院の研修プログラムでありながら、このような大船中央病院で研修を経験できる地域医療研修プログラムを、私は心より後輩のみなさんに推薦します。

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