臨床工学技術科

概要

 臨床工学技術科は臨床工学技士47名(男性33名、女性14名)で構成されています。病院には様々な医療機器があり、これらの医療機器が常に最良の状態で正しく使用されなければなりません。そのためには医療機器に精通したスタッフが保守点検管理業務を行い、操作する必要があります。医療機器に関する正確な知識と技術を習得し、チーム医療の円滑な推進を医療と工学の知識をもって支える専門医療技術者が臨床工学技士です。当科では2交代勤務(夜勤)体制により、24時間いつでも対応することにより患者様へ安全な医療を提供できるよう努めています。また、育児や介護といったスタッフの職場環境整備においても常に前向きに対応しています。

業務の内容

機器管理業務

医療機器整備室では、生命維持管理装置をはじめ8000台を超える医療機器を管理・運用しています。また、医師や看護師などの院内スタッフに対し、医療機器の安全使用のための研修会を定期的に企画・開催しています。医療機器のスペシャリストとして、周術期や集中治療領域といったさまざま分野においても、チーム医療の一員として業務を実施しています。

手術室業務

中央手術室では、最新医療機器が続々と導入されており、手術室に科員が常駐して管理しています。さらに、ロボット支援下手術や整形外科ナビゲーション、術中神経モニタリングといった高度医療技術を扱う症例にも参入し、医師の指示のもとに操作に携わっています。また、多くの医療機器を管理し、計画的な保守点検を実施することにより、安全な手術に貢献しています。

人工心肺業務

当科では、現在7名の体外循環技術認定士が心臓血管外科と緊密な連携のもとに、体外循環業務に従事しています。さらに、24時間常に対応できる体制を敷いており、緊急手術にも対応しています。
TAVI(経カテーテル大動脈弁置換術)やMitra Clip(経皮的僧帽弁クリップ術)に代表されるストラクチャー領域においても積極的に診療の補助に参画しています。コロナ禍に症例数が増加したECMO(経皮的心肺補助)の管理においても、医療工学の視点から診療をサポートしています。

血液浄化業務

血液浄化業務では、血液透析をはじめとして血漿交換、血漿吸着、血液吸着、持続緩除式血液浄化、腹水濾過濃縮などの様々な血液浄化法を施行しています。加えて、在宅透析治療に関しても機器のメンテナンスや患者研修を行っています。また、透析装置などの関連医療機器については保守点検を計画的に実施し、確実な透析液清浄化管理を実施することで、安全かつ質の高い透析医療を提供できるように努めています。

血管造影室業務

心臓カテーテル治療では、血管内イメージング装置やデバルキングデバイスなど、治療に用いられる多くの機器操作を担当しています。緊急症例では急変のリスクが高くなることもあり、必要な際には補助循環装置などの操作も行います。
不整脈治療では、植え込み型心臓デバイスのプログラミングや定期チェック、アブレーション時の心臓3Dマッピングシステムなどの機器操作を担当しています。
これらの機器から得られる情報は、医師の治療における重要な判断材料となるため、いかなる装置も正確な知識と技術を持って、迅速に操作を行うことを心がけています。心電図検定や各種認定士の取得、学術活動など、自己研鑽に努め、専門性を高めています。

高気圧酸素治療業務

当院では、県内で数施設しか保有していない第2種高気圧酸素治療装置(多人数用)を有しており、さまざまな高気圧酸素治療症例に対応しています。さらに、緊急症例においても常時対応しており、対象患者は県内のみならず必要時にはドクターヘリ等も利用して静岡県をはじめ他県からも受け入れています。

内視鏡業務

近年、疾病の早期発見と早期措置、適切な医療と合併症対策周術期管理の観点から内視鏡検査・治療領域は、低侵襲手技の観点において目まぐるしい進歩を遂げています。高度な手技も増加していることから、医療機器を熟知し夜間緊急対応可能な臨床工学技士による内視鏡技術支援が必要となり、当院では2023年度より臨床工学技士が積極的に内視鏡業務に携っています。現在、全8室ある内視鏡室に常勤で2名以上の臨床工学技士を日々配置して業務支援を実施しています。

取得認定資格

ご挨拶

臨床工学技士は、生命維持管理装置の操作および保守点検、管理を業務としています。当院の臨床工学技術科では、
1)自信と誇りを持てる高いレベルで業務を行う部門であること
2)患者様、病院に対して、大きく貢献する部門であること
3)スタッフ個人のスキルが活かされる部門であること
を目指し、病院にあるほぼ全ての医療機器の操作および保守管理のスペシャリストとしてチーム医療に参画し、医師、看護師、他の医療技術者と連携を取りながら、24時間いつでも患者様が安心して治療を受けることができるように、日々努力しています。また、医療機器を使用される患者様の心を感じることのできる完成を持った技士の育成にも力を注いでいます。医療機器についてご不明な点がありましたら、いつでも臨床工学技士にお尋ねください。

臨床工学技術科長
西原 英輝