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細胞移植再生医療科

診療内容
細胞移植再生医療科は小児科領域のハイリスク白血病・再生不良性貧血などの血液難病や一部の先天性疾患に対する造血幹細胞移植において、移植適応の判定、至適造血幹細胞の選択とコーディネート、造血幹細胞移植の治療計画立案と移植管理、長期フォローアップを含む外来診療を行っています。造血幹細胞移植は血液学、腫瘍学、感染症学、輸血学、移植免疫学など多分野の知識を要する高度専門的医療であるために、一般小児科診療から特化した診療科として小児科と連携しながら診療を行っています。
主な対象疾患
通常の化学療法で治癒が期待し難いハイリスク白血病、重症あるいは最重症再生不良性貧血、先天性再生不良性貧血(ファンコニ貧血、先天性角化不全症、ダイアモンドブラックファン貧血、その他)、一部の先天性予後不良な原発性免疫不全(重症複合免疫不全、ウィスコット・アルドリッチ症候群、慢性肉芽腫症、その他)、一部の先天性代謝異常(ムコ多糖症Ⅰ型、Ⅱ型、ⅣA型、副腎白質ジストロフィー、クラッベ病、その他)など。
主な診療実績
2024年には2例の非血縁骨髄移植、3例の非血縁さい帯血移植を施行、疾患の内訳は副腎白質ジストロフィーが2例、骨髄異形成症候群、ムコ多糖症I型、異染性白質ジストロフィーがそれぞれ1例でした。全例がドナー細胞の生着を得て生存中です。今までの実績として、1982年3 月に最初の同種骨髄移植を成功させてから、2024年12月までに568例に対して644回の同種造血幹細胞移植、48例の自家造血幹細胞移植を施行しました。この間、1993年9月にはHLA不一致ドナーから世界最初の同種CD34陽性細胞移植を成功させ、1994年10月には国内最初のさい帯血移植を成功させています。再生不良性貧血の診療においては日本の中心的役割を果たしており、先天性再生不良性貧血の移植は105回(代表疾患であるファンコニ貧血の移植は89回)、後天性再生不良性貧血の移植は86回で、いずれも国内最多の症例数と世界最高水準の成績を実現しています。その他、先天性代謝異常においても104回と国内最多の移植を施行しています。
ご挨拶
造血細胞移植はハイリスク白血病や重症再生不良性貧血など、難治性血液疾患や先天性免疫不全症、先天代謝異常などの難病に対し、根治を期待しうる治療として行われています。造血細胞移植は血液学、免疫学、感染症学、輸血学など多方面に高度な専門性を要求される治療のため、細胞移植再生医療科は特殊診療科として独立し、移植に必要な専門性の高い検査などの基盤整備を行いつつ、小児科と連携して診療、研究にあたっています。再生不良性貧血などの骨髄不全症候群や先天代謝異常の移植は世界でも有数の症例数があり、患者さんは全国から紹介されるため、付き添いのご家族が滞在するための宿泊施設も準備されています。
細胞移植再生医療科 診療科長
矢部 普正