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小児科
診療内容
小児でよく見られる急性疾患から、高い専門性が要求される慢性疾患や救急疾患に至るまで、小児に関連した疾病に幅広く対応しています。連日、一般外来では初診を受け付けていますが、専門外来として、各疾患別臨床班(救急医療、周産期医療、血液・悪性腫瘍、循環器、腎尿路、神経、内分泌・代謝、呼吸器、アレルギー・免疫、膠原病)に、それぞれの専門のスタッフを配置する体制をとっています。 小児科で対応すべき疾患は数多いため、院内の他科との円滑な診療ができる体制を維持し、また、地域医療にあたっても、神奈川県西部の1次、2次医療機関との連携に努めています。小児救急
厚生労働省の認可を受けた高度救命救急センターの医学部付属病院にあるため、小児の3次救急対応施設として豊富な経験を生かし、休日夜間診療所や近隣の中核病院と連携をとりつつ、最先端の小児救急医療を提供しています。
周産期・新生児医療
2006年4月1日付で総合周産期母子医療センターの指定を受けています。集中治療が必要な新生児に対して、神奈川県中西部の中心的施設として地域の医療圏の皆様と連携しながら診療に従事しています。さらに退院後も定期的に外来での経過観察や加療が必要な患者様については、関係診療科と協力して、成長・発達のフォローアップを行なっています。その他として、正期産新生児の1か月健診、栄養相談なども担当し、地域の母子保健の向上に努めています。2025年4月から新生児集中治療室(neonatal intensive care unit; NICU)を14床に増床して、今まで以上に地域のニーズに応えられるようにさらに医療体制を充実させました。
血液・悪性腫瘍疾患
白血病、小児がん、血液疾患などの診断・治療を行っています。造血幹細胞移植は細胞移植科と連携し、白血病などの悪性疾患だけでなく再生不良性貧血、先天性免疫不全症、先天代謝異常症などの疾患に対しても行い、国内トップレベルの移植施設となっています。長期入院の患者さんのために院内学級(小学校・中学校)を設置しています。
循環器疾患
こども病院等で訓練を受けた医師による先天性心疾患の診断、治療を中心に、他院で手術を受けられた患者さんも多数ご紹介いただき、責任を持って診させていただいております。特に当院は予防医学に力を入れており、毎年神奈川県西部ほぼすべての小学校、中学校の学童心臓検診を担当し、年間2万件以上の心電図読影、診断を行い地域医療にも参画しています。
腎・尿路疾患
腎炎・ネフローゼ症候群等の腎疾患に対して必要に応じて腎生検を行い、治療方針を決定します。尿路感染症や先天性腎・尿路疾患については小児外科、泌尿器科と連携して診療にあたります。胎児や乳児の腎臓超音波検査で水腎症を指摘された方、学校検尿で血尿や蛋白尿を指摘された方の診療を行います。水・電解質異常、高血圧も診療しています。
神経疾患
成長を続ける小児においては、精神・運動発達の経過観察が重要であるため、主に発達の遅れ、けいれん、不随意運動などの診断治療を行っています。受診日から早期に、頭部MRI、脳波検査を行うことができます。また、MRアンギオ、脳血流シンチグラフィー(SPECT)などの特殊検査も行っています。
内分泌・代謝疾患
成長障害、甲状腺疾患、性腺疾患、糖尿病等の診断・治療を専門医が中心となって行っています。また、当科の特徴でもある造血細胞移植では、その晩期合併症として内分泌疾患を合併することが多く、細胞移植再生医療科と連携して長期フォローも行っています。
呼吸器疾患
各種画像検査や呼吸機能検査などを用い、先天性あるいは後天性の気道疾患の診療を行っています。また難治性・反復性の呼吸器感染症の診断・治療にも力を注いでいます。
アレルギー・免疫疾患
近年、著しい増加傾向にある喘息やアトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどのアレルギー疾患について、外来診察や入院による診療を行なっています。喘息に対しては小児の呼吸機能検査や画像診断のほか、気道過敏性検査や気道炎症に対する呼気中一酸化窒素濃度測定などの特殊検査を行なっています。食物アレルギーでは、必要と考えられる患児に対し、診断、治療のための食物除去試験、食物負荷試験を行っています。
膠原病
若年性特発性関節炎(JIA)を初め全身性エリテマトーデス、混合性結合組織病など小児リウマチ性疾患の診断・治療を行っています。早期診断・早期治療をすることにより日常生活を行うことができるようより高いQOLを保てることを目指しております。
主な対象疾患
周産期医療
早産児、低出生体重児を含む新生児疾患の全般
なお緊急的外科的処置を有する先天性心疾患および脳神経外科疾患に関しては、当院での手術が困難なため他の医療機関へ紹介させていただいております。
なお緊急的外科的処置を有する先天性心疾患に関しては、当院にて手術困難のため他の医療機関へ紹介させていただいております。
血液・悪性腫瘍
白血病、リンパ腫、再生不良性貧血、貧血、血友病、固形腫瘍など
循環器疾患
先天性心疾患、川崎病、不整脈など
腎・尿路疾患
腎炎、ネフローゼ症候群、学校検尿での尿異常、水腎症などの先天性腎尿路奇形、慢性腎不全、電解質異常、尿細管機能異常症、高血圧
神経疾患
発達障害、てんかん、けいれん重積、脳炎・脳症など
内分泌・代謝疾患
種々の成長障害(低身長症、成長ホルモン分泌不全性低身長、SGA性低身長症、ターナー症候群など)、甲状腺疾患、副腎疾患、性腺疾患、染色体異常症、先天性代謝異常症、糖尿病、小児生活習慣病、造血細胞移植後の晩期合併症など
呼吸器疾患
赤ちゃんや小児のぜーぜー、長引く咳、反復性下気道感染症、胸部異常陰影など
アレルギー免疫疾患
喘息、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなど
膠原病
若年性特発性関節炎(JIA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、混合性結合組織病(MCTD)など
主な診療実績
周産期医療
年間総入院数:150-250例、出生体重1500g未満の極低出生体重児:20-40例、
新生児低体温療法:2-3例、一酸化窒素吸入療法:5-10例
血液・悪性腫瘍
年間総入院数:20-30例、造血細胞移植数:20-30例
循環器疾患
年間外来受診のべ人数:約1,500人、年間心臓超音波検査数:約3,000件
腎尿路疾患
腎生検:年間15~20例、膀胱造影:年間30~50例、頻回再発やステロイド抵抗性を示す難治性ネフローゼ症候群:1-3例
神経疾患
年間外来受診のべ人数:約1, 000人、外来初診:約100例
内分泌・代謝疾患
成長障害:20-30名、甲状腺疾患:10-15名、副腎疾患:2-3名、性腺疾患:5-10名、糖尿病:5-7名、脂質異常症:2-5名、肥満症:3-5名、副甲状腺疾患、カルシウム代謝異常:2-3名
呼吸器疾患
外来患者数:70例/月、気道内視鏡検査数:喉頭:約15例/年、気管気管支:21例/年、気道内視鏡検査(喉頭・気管気管支):約130例/年
アレルギー免疫疾患
外来患者数:気管支喘息:約80名、 アトピー性皮膚炎:約50名、 食物アレルギー:約30名、その他、慢性咳嗽、口腔アレルギー症候群など、肺機能検査(フローボリューム):約100例、気道過敏性検査:約60例、プリックテスト:約80例、食物負荷試験:約30例
膠原病
若年性特発性関節炎:10名前後、全身性エリテマトーデス:2-4名、大動脈炎症候群:0-3名、若年性皮膚筋炎、混合性結合組織病:1-2名、シェーグレン症候群など。
ご挨拶
小児科は新生児期から思春期まで、小児の全域を診る診療科です。小児科でよく見られる気管支炎や肺炎などの急性疾患から、高い専門性が要求される慢性・難治性疾患に至るまで、幅広く対応しています。地域医療では、神奈川県西部地区の1次、2次の医療機関と密接な連携をとって、3次医療機関としての役割を果たしています。母子保健の面でも、市町村の行政と密接に連携して対応しています。周産期・新生児医療については、神奈川県から総合周産期母子医療センターの指定を受けており、ハイリスク新生児や早産児・低出生体重児に対する新生児医療の基幹施設として活動しています。小児科外来には疾患別の診療班(救急医療、周産期・新生児医療、血液・悪性腫瘍、循環器、腎尿路、神経、内分泌・代謝、呼吸器、アレルギー・免疫、膠原病)に専門のスタッフを配置しておりますので、安心して受診してください。
小児科 診療科長
内山 温