産婦人科

診療内容

婦人科腫瘍

 婦人科腫瘍部門では、婦人科腫瘍専門医、内視鏡技術認定医を中心に、最新の医療技術を駆使して治療にあたっています。当科は国内でも有数の婦人科がん治療実績を有しており、国内の婦人科がん治療を牽引しております。子宮体がん、子宮頸がんなどに対しては、腹腔鏡手術やロボット支援手術、センチネルリンパ節生検などの低侵襲手術を積極的に取り入れ、患者さんの迅速な回復を安全にサポートしています。また卵巣がんや再発がんに対しては高度な外科的治療を提供し、薬物療法や放射線治療などの多岐にわたる集学的治療も選択肢として用意しております。ガイドラインに準拠した治療のほかに、がんゲノム検査の提供や臨床試験および治験への積極的な参加により、個別化された最新の治療法や先進的な医療技術を提供しています。患者さん一人ひとりのニーズに合わせた最適な治療プランを構築し、常に最善の医療を提供することを使命としています。

産科

 産科部門は、出産を希望されるすべての方にご利用いただくことができます。また当院は総合周産期母子医療センターを有しており、合併症などでハイリスクとされる妊婦さんの妊娠や出産の管理に対応しています。さらに30年以上前から無痛分娩に取り組んでおり、実績を積んでおります。夫立ち会い分娩にも対応しておりますので、ぜひご相談ください。  妊娠、出産(分娩)では、どのような方でもある一定のリスクを伴います。当院産科では安心安全な妊娠・出産をめざし、最新の設備を有し、また小児科や麻酔科、小児外科など関連各科と密な連携を取りながら、高度な周産期医療をご提供できるように体制を整えています。一例として、出産時には200人から300人に1人の割合で大量の出血が生じますが、このような場合にも即時に救命のための輸血や全身管理が行える体制を整え、また高度な出血では画像診断科の協力をいただき血管内治療(IVR)による止血治療を取り入れています。総合周産期母子医療センターの機能として、近隣の医療機関からの重症搬送例なども積極的に受け入れています。
 また最近ではプレコンセプションケア(妊娠前からの妊娠・分娩に関する相談・医療介入)にも積極的に取り組み、これから心配を抱えつつ妊娠を考えている方や合併症をお持ちの方の相談を受け付けております。出生前診断に関しましては院内の遺伝子診療科と協力しながらカウンセリングや検査を行います。その他、詳しい診療内容は総合周産期母子医療センターのページをご覧ください。

生殖・内分泌

 当院では、不妊外来のことを家族計画外来と称して、不妊治療に関する包括的な医療を提供しています。一般的な不妊症や不育症に加えて、他院で難治性の不妊症と診断されたり、内科的合併症を持つ場合に対しても検査・治療を実施しています。不妊治療では、タイミング療法、人工授精からタイムラプスを用いた体外受精(顕微授精含む)まで積極的に行っています。治療はエビデンスに基づいて個々の状況に応じて最適な方針を提案し、ご希望を含めて治療方法を決定しています。不妊治療の一貫として、子宮筋腫や子宮内膜症などが不妊原因と考えられる場合には、主に内視鏡(子宮鏡、腹腔鏡)による手術を行っています。また、中隔子宮や腟欠損症等の生殖器の先天性異常に対しても内視鏡手術を積極的に行っています。

主な対象疾患

婦人科腫瘍

子宮体がん:子宮体がんは婦人科がんの中で最も多く、年々増加傾向にあります。近年は腹腔鏡手術やロボット支援手術による治療が普及し、当院では広範囲なリンパ節郭清を必要とする方にも積極的に対応しています。進行がん・再発がんに対しては抗がん剤治療のほか免疫チェクポイント阻害薬などの分子標的治療薬も導入されています。

子宮頸がん:子宮頸がんは主にヒトパピローマウイルス感染により引き起こされ、比較的若い方も罹患します。進行段階に応じて、手術療法あるいは放射線療法(同時化学放射線療法)、薬物療法が選択されます。腹腔鏡手術による治療(腹腔鏡下広汎子宮全摘出術)は、国内臨床試験に参加して実施しています。進行がん・再発がんに対しては、放射線治療科と連携した放射線治療や抗がん剤治療のほか免疫チェクポイント阻害薬などの分子標的治療薬も導入されています。

卵巣がん:腹膜播種を伴った進行卵巣がんに対しては手術療法と薬物療法の双方により最新のエビデンスに基づいた治療を進めていきます。近年、初回治療後の維持療法(分子標的治療薬)の導入により飛躍的に予後が改善されています。当院の手術療法においては腸管などの合併切除を含めた複雑な手術(拡大手術)にも精力的に取り組んでいます。遺伝性乳癌卵巣癌症候群に対するリスク低減卵管卵巣摘出術(RRSO)にも保険診療の範囲内で対応しています。

産科

 正常分娩およびハイリスク妊娠管理(妊娠中の異常、合併症妊娠)を取り扱います。総合周産期母子医療センターとして年間70~100例の母体搬送を受け入れています。詳しくは総合周産期母子医療センターのページをご覧ください。

生殖・内分泌

不妊症:一般不妊検査(ホルモン検査、子宮卵管造影検査、子宮鏡検査、精液検査など)、一般不妊治療(タイミング療法、人工授精)から体外受精(顕微授精含む)まで実施しています。
不育症:2回以上の流産や死産を繰り返しているため、赤ちゃんが得られない場合で、主に採血検査(抗リン脂質抗体、凝固系検査、抗核抗体など)を行います。
その他:卵管留水症や子宮・腟奇形、卵巣嚢腫・子宮内膜症・子宮筋腫等の良性疾患、異所性妊娠等の婦人科救急疾患に対する内視鏡手術(腹腔鏡、子宮鏡)を行っています。

主な診療実績

婦人科腫瘍

2023年の年間婦人科がん手術術総数は237件、うち腹腔鏡・ロボットによる低侵襲手術は116件でした。年間延べ800例以上の抗癌剤治療を行っています。

産科

ハイリスク分娩取り扱い件数が増加しています。これにともない、帝王切開率も50%を超えています。

生殖・内分泌

採卵や胚移植件数は表の通りです。体外受精関連では、保険適用後に件数が増加しています。

ご挨拶


産婦人科は、人生という時間経過の縦軸の中で、生涯にわたり女性の健康を守る役割を担う診療科です。産婦人科には、周産期、不妊・生殖、婦人科腫瘍、女性ヘルスケアという大きな柱があり、それぞれが有機的に結びついております。東海大学の産婦人科には各分野のエキスパートがおり、当院の理念に基づき患者さんに最新で最適な治療が提供できるよう協力して診療を行っております。また、各スタッフが主体的に教育に参画しており、次代を担う人材育成にも力を入れております。疑問点や不安なことがありましたら、医師をはじめメディカルスタッフにお気軽にお声かけください。

産婦人科 診療科長
野村 弘行

医師一覧

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