脳神経内科

診療内容

 当科の疾患としては全体の約半数が脳卒中で占められ、脳血管障害急性期などダイナミックな疾患から、変性・免疫疾患や末梢神経障害などのスタティックな疾患まで、脳神経内科全般の診療を行っています。 特に脳梗塞については、救急救命センター、脳神経外科の協力のもと24時間体制でのrt-PA静注療法・血管内治療専門医による 血管内治療などの急性期治療が行われており、ほぼ全症例においてMRI、MR angiography、頸動脈・心臓エコー、Holter ECG を施行し、必要に応じて経食道心エコーを行い、適切な治療法を選択しています。また、潜因性脳梗塞に対して は植込み型心電図記録計(Reveal LINQ)の植え込み術を行い積極的に塞栓源の検索を行っています。
 また、パ-キンソン病については最新の薬物治療に加えて、難治性のものには、深部脳刺激療法(DBS)レポドパカルピドバ経腸療法(LCIG)、持続皮下注療法(ヴィアレブ)など最新の治療法を導入しております。多発性硬化症や視神経脊髄炎など神経免疫疾患に関しては、多発性硬化症や視神経脊髄炎など神経免疫疾患に関しては急性期治療法としてステロイドパルス療法や再発予防のための各種DMD(disease-modifying drug)を最新の薬剤を含めて専門医が診察しております。他には重症無力症の患者さんも近年開発された最新の抗体療法なども行っております。
 認知症に関しては、当院は県唯一の基幹型認知症疾患医療センターであり、県内の認知症疾患医療センターや地域の医療機関との連携を図っております。また、アルツハイマー病の診断にはPRT検査を行い、近年開発されたアルツハイマー病における軽度認知障害(mild cognitive impairment: MCI)においての抗体療法も開始しております。
 末梢神経障害では、ギランバレー症候群やCIDPの患者さんは、Mg維持療法や、在宅でのMg自己注射(SCIG)、抗FcRn抗体療法などを積極的に行っております。
 また、片頭痛に関しては、頭痛専門医によるきめ細かい診断を行い、最新CGRP関連抗体製剤などを用いて治療しています。てんかん重積発作による救急搬送は、意識状態が悪い時には、ICU管理を行い、脳波などの精密検査を施行して、適切な治療をしています。
 その他、髄膜炎などの感染症については、画像診断、脳脊髄液検査を早期に施行し、さらに希少疾患である家族性アミロイドニューロパチー(FAP)などに関しても最新の核酸医薬による治療も行っています。
 最新の治療技術を提供するために積極的に各疾患に対する治験を行っております。上記以外にも、遺伝性疾患など様々な神経難病に対応できる様に診療を行っており、臨床遺伝専門医により遺伝カウンセリングなども行っております。

主な対象疾患

 脳梗塞および一過性脳虚血発作(TIA)、脳出血、細菌性およびウイルス性髄膜炎、ヘルペス脳炎、クロイツフェルト・ヤコブ病を含むプリオン病などの神経感染症、パーキンソン病、脊髄小脳変性症などの変性疾患、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症などの認知症疾患、多発性硬化症、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)などの脱髄性疾患(神経免疫疾患)、てんかん、顔面痙攣、頭痛などの機能的疾患、ミエロパチー、ALS、ギラン・バレー症候群、CIDPなどの末梢神経障害、筋肉疾患など、家族性アミロイドニューロパチーなどの希少疾患および神経内科領域の疾患全般を扱っています。

主な診療実績

※付属病院年間入院患者数 804名(2024年1月~2024年12月)
疾患
脳血管障害 353例
脊髄・脊椎疾患 36例
てんかん 93例
脳炎・髄膜炎 32例
神経変性疾患 12例
認知症 5例
筋萎縮性側索硬化症 19例
多発性硬化症・視神経脊髄炎関連疾患 77例
末梢神経疾患( 含むギランバレー症候群) 33例
重症筋無力症 45例
筋疾患 13例
パーキンソン病 32例
代謝性疾患・中毒 3例
クロイフェルト・ヤコブ病 3例
その他 48例
写真:急性期脳梗塞患者さんの具体的事例を示す。右半身の完全片麻痺で発症し、発症から33分で当院に搬送された。来院時頭部MRI 拡散強調画像(DWI)では左基底核に高信号を認め、magnetic resonance angiography(MRA)では、一側の中大脳動脈が閉塞していた。来院後45分で血栓溶解療法を行い、78分で血管内治療を行い、発症から138分で完全再開通が得られた。入院後心房細動が検出され、心房細動による心原性脳塞栓症と診断し、新規抗凝固薬を導入し、2週間後独歩にて自宅退院した。以上のごとく、本例では血栓溶解療法、血管内治療による急性期治療の有効性が示された。

ご挨拶


神経内科の入院患者さんは年間700-750人ほどで、入院患者数は大学病院の神経内科として日本でも指折りに数えられる状況です。疾患としては全体の約半数が脳卒中で占められ、24時間体制で超急性期脳梗塞に対し血栓溶解・血管内療法を行っています。パーキンソン病患者さんに対しては、内服加療のみならず深部脳刺激療法(DBS)レポドパカルピドバ経腸療法(LCIG)、持続皮下注療法(ヴィアレブ)など最新の治療法を導入して、個々の患者さんに応じた機能改善を目指しています。認知症に関しては、県の認知症疾患医療センター基幹病院として地域の医療機関との連携を図っています。さらに神経内科専門医は勿論のこと、脳卒中専門医、脳血管内治療専門医、頭痛専門医が在籍し、国内外の最先端の治療を提供できる診療体制を敷いています。上記以外にも、多発性硬化症、遺伝疾患など様々な神経難病に対応できる様に診療を行っておりますので、安心して脳神経内科を受診ください。

脳神経内科 診療科長
永田 栄一郎

医師一覧

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