内視鏡室

概要

当内視鏡室においては、昨年(2018年1月~12月)の実績において上部消化管(食道・胃・十二指腸)内視鏡11,751件、下部消化管内視鏡3,989件、ダブルバルーン小腸内視鏡30件、カプセル小腸内視鏡44件、ERCP730件、超音波内視鏡428件、気管支鏡595件を扱っており、全国の大学病院においても屈指の検査数を誇っています。また治療では早期消化器癌を中心にESD内視鏡的粘膜下層剝離術(食道27件・胃107件・大腸64件)198件、EMR内視鏡的粘膜切除術780件、食道・胃静脈瘤の硬化療法・結紮療法55件、消化管出血の緊急内視鏡的止血術は224件、内視鏡的胃瘻造設術69件が行われています。消化器内視鏡検査は内視鏡指導医9名、内視鏡専門医15名のスタッフを中心に行われ、気管支鏡検査は呼吸器内科6名、呼吸器外科9名の医師を中心に行われています。さらに、消化器内視鏡学会認定内視鏡技師6名を含むコメディカルスタッフ(看護師7名、臨床検査技師7名、事務職員5名)の協力の下、安全・迅速な対応と的確な診断治療を目指しております。ご紹介患者様につきましては、医療連携室を介して、直接検査予約が可能です。

主な対象疾患

内視鏡室は呼吸器内科・外科、消化器内科・外科、総合内科を中心としたオープンシステムの施設であり、原則的には検査毎に各科の担当日が決まっていますが、特殊検査・緊急検査や内視鏡治療の際には必要に応じて協力体制をとりながら対応しています。各疾患の成績・診断率の詳細は各科毎の診療案内をご参照いただくこととして、ここでは内視鏡室で日常的に行われている検査治療業務を中心にご紹介させていただきます。
内視鏡室においては、各種消化管疾患に対し上部消化管内視鏡検査、下部消化管内視鏡検査、消化機能検査、超音波内視鏡検査、呼吸器疾患に対し気管支鏡検査が行われています。検査症例数およびその診断率に関していえば全国でもトップレベルに属すると自負しております。
各科の検査・治療内容の特色について以下に述べます。

気管支鏡検査

近年、肺悪性腫瘍、間質性肺炎などの増加に伴い、気管支鏡検査の重要性が益々認識されています。当院は、 日本呼吸器内視鏡学会認定施設であり、気管支鏡指導医・専門医のもと、検査数は年間500件を超えています。気管支鏡検査は、肺悪性腫瘍、間質性肺炎などのびまん性肺疾患、肺結核やその他の原因不明な感染症などの診断に適用しています。特に肺癌に対しては、末梢肺病変に対する超音波を用いた生検(EBUSガイドシース法)、リンパ節転移診断のための超音波気管支鏡を用いた針生検(EBUS-TBNA法)を導入し、積極的な診断を行っております。また、手術後の気管支内腔観察、放射線治療や化学療法の効果判定、原因不明の咳嗽患者や血痰を主訴とした患者のスクリーニングなどにも気管支鏡検査を行っています。このような診断目的の検査に加え、気管支鏡を用いた治療として、難治性気胸に対するEWS気管支充填術、気管支異物除去、気道狭窄に対するステント挿入術、アルゴンプラズマ凝固法(APC)を用いた焼灼術などを行っています。/p>

消化器内科

消化器疾患

食道から胃、十二指腸、小腸から直腸に至る全消化管を対象に幅広くかつ専門的に診療を行っています。
現在、日本消化器内視鏡学会指導医3 名、専門医7 名、日本消化器病学会指導医2 名、専門医6 名を含む9 名を中心として診療を行っています。専門性の高い手技に関しては必要に応じて内視鏡室、放射線造影室、手術室等のスタッフと緊密に連携するとともに、放射線診断科、放射線治療科、外科、病理診断科等他科とも協力し集学的診療を行っています。
消化管腫瘍に関しては画像強調観察、拡大内視鏡、超音波内視鏡等を用いてより正確な術前診断をし、適切な治療法選択を行っています。食道から胃、十二指腸、大腸に至るまで、主に粘膜内に限局している腫瘍に対しては、早期癌や前癌病変を対象として内視鏡治療(内視鏡的粘膜切除術〈EMR〉や内視鏡的粘膜下層剥離術〈ESD〉等)を積極的に施行しています。粘膜下腫瘍に対しては切開生検や超音波内視鏡下穿刺吸引術(EUS-FNA)を施行し組織診断を行っています。
近年増加傾向にある炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)に対しては、カプセルや小腸内視鏡を含めた各種画像診断を駆使し、正確な病態の把握に努めています。
また消化管出血例への緊急内視鏡による止血や異物等緊急症例への対処も行っています。

肝胆膵疾患

食道・胃静脈瘤に対しては緊急および予防的なものを含め、内視鏡的静脈瘤硬化療法(以下 EIS)や内視 鏡的静脈瘤結紮療法(以下EVL)などの内視鏡治療を施行し、治療前後の栄養管理および肝の代謝・循環動態などを含め総合的に基礎疾患である肝硬変の治療を行っています。更に、難治例に対しては血管造影下にintervention治療(B-RTO、PSE、TIPS)を行い、高い治療効果を挙げています。胆・膵疾患における内視鏡検査・治療として、胆石症では各種画像検査に加え、内視鏡的逆行性胆管・膵管造影(ERCP)により石の種類・大きさ・数を正確に把握した上でその治療法を決定しています。総胆管結石に対しては内視鏡的胆道ドレナージ(以下EBD)挿入後、内視鏡的乳頭切開術(以下EST)または、乳頭バルーン拡張術(以下EPBD)後結石除去術を行い良好な成績を得ています。胆・膵腫瘍性疾患による閉塞性黄疸では経皮的胆道ドレナージ(以下PTBD)または内視鏡的胆道ドレナージ(EBD)を速やかに行い、手術不能例にはステント挿入後集学的な消化器癌の治療を実践し、患者の延命率およびQOLの向上に努めています。

消化器外科

消化器領域においては主として上部・肝胆膵・下部の3つの専門グループに別れ、それぞれ内科や他の外科グループと協力しながら、検査・治療を行っています。


1.上部消化管
診断として食道・胃および十二指腸のスクリーニング検査、色素内視鏡を併用した上部消化管疾患の術前診断から超音波内視鏡による腫瘍の深達度およびリンパ節転移診断まで行っています。また、耳鼻咽喉科と口腔外科との連携によって頭頚部癌患者における重複癌(特に食道)の発見にも努めています。内視鏡治療としては食道静脈瘤に対するEIS・EVLを行うとともに、食道・胃粘膜癌に対しては、侵襲の少ない根治療法として、内視鏡的粘膜切除術(EMR)や粘膜下層剥離術(ESD)を積極的に施行しております。食道粘膜癌に対する内視鏡的粘膜切除術(EMR)は、世界的に先駆的立場にあります。現在までに、3,000例を越す食道癌症例を治療してきました。ここ数年では約45%が表在癌で、そのうち約50%の症例に対してEMRを行い良好な成績を得ております。
2.肝胆膵
肝胆膵領域における内視鏡検査では、胆・膵のルーチン検査(特に胆石症や悪性腫瘍の術前診断)としてはERCPがメインとなっています。他に、超音波内視鏡および細経内視鏡を用いた胆道・膵管の検査を積極的に行っています。治療的内視鏡としては、閉塞性黄疸に対するENBDを年間約50例に施行しています。減黄後には最近では内視鏡的乳頭バルーン拡張術(以下EPBD)を積極的に施行しています。症例によってはESTやステント挿入などを選択するようにしています。
3.下部消化管
従来、大腸癌検診はバリウム注腸X線検査(以下LGI)をfirst choiceとしていましたが、近年、全大腸内視鏡検査(以下TCS)が広く普及した結果、5mm以上のポリープに対しては前癌病変として積極的に摘出することにより、大腸癌の発生を予防しようという方向に進んでまいりました。全体像の把握などLGIに比し弱点もありますが、微小病変の拾い上げ、ポリペクトミーや内視鏡的粘膜切除術や粘膜下層剥離術(ESD)など診断的治療を含めTCSの有用性は今さら述べるまでもありません。当科では通常若干の鎮静剤を用いるのみで、被検者が寝ている間に10~15分でTCSを完遂しています。外来で施行できる検査として毎週約20件、年間800件を行っております。また早期大腸癌に関してもEMR、腹腔鏡下(縮小)手術を積極的に行っております。
4.その他
頻度は少ないですが、小児の内視鏡検査(主として小児外科)や経食道心臓超音波検査(循環器内科・心臓血管外科)などの検査に対しても対応しています。

ご挨拶

内視鏡室は病院2階、第4診療センター内に配置され、施設内全8室に最先端器機とファイリングシステム / 院内電子カルテが装備されており、検査終了後は院内の全末端でレポートと画像が閲覧でき効率的な運用がなされております。内視鏡検査・治療数は年間約1万7千件にのぼりますが、各専門医師(消化器内科、消化器外科、呼吸器内科、呼吸器外科、救命救急、総合内科)、看護師、検査技師およびその他多くのコメディカルスタッフが協力し合うことで、質の高い・苦痛の少ない最先端内視鏡診療を患者さんに提供できるよう心がけております。

内視鏡室長
松嶋 成志