臨床法医科

概要

 犯罪や事故に巻き込まれたり、思わぬ病気の発作が起こったり、予期せぬ状況で突然亡くなることは“異状死”と呼ばれます。その異状死が起こった状況を医学的に明らかにするのが法医学の仕事です。
 現在日本では、全死亡者の8人に1人が異状死として警察で取り扱われていますが、その多くは高齢者の病死です。単身独居の高齢者に限らず、老々介護等で死亡の状況が明らかでない場合、高齢者入居施設で看取り体制が不十分であった場合も異状死として扱われています。また、働き盛り世代では、生活習慣病を背景とした突然死が多い反面、過労を含めた労働災害の判断が求められることもあります。その他、乳幼児突然死や身元不明者の死亡など、“死”を巡り医学的な検査が必要となる場面は多々あります。
 東海大学臨床法医科では、神奈川県西部地域を中心に、神奈川県警・静岡県警・第三管区海上保安部からの依頼に基づいて、年間約200件の解剖と検査を実施しています。死亡の原因・受傷した状況・身元不明者の個人識別のために、死後CT検査・病理組織学検査・薬毒物分析・DNA解析等の検討を重ね、死後診断技術の精度向上に努めています。

ご挨拶

 法医学は亡くなった方と向き合う医学です。生きている人の病気や怪我を治すことを目指す医学部のなかでは、少し変わった存在かもしれません。過去に起こってしまった事実をひとつひとつ拾い上げる、という意味ではとても後ろ向きな仕事とも言えます。
 しかし、“生”の先には必ず“死”があり、私たちは家族や友人の死を経験しながら生きていきます。事故であれ病気であれ、親しい人を突然亡くすことは時として残された人の人生に大きな傷痕を残します。何が起こったのか分からないままでは、のちのち不要な疑念や後悔を招くこともあります。そんな時、医学的な手がかりを探し出し、死が起こった状況を明らかにできれば、同じ事故や突然死を防ぐ手立てを探れます。ひとりひとりの死を未来の生に繋げることが私たちの目標です。

臨床法医科科長
垣本 由布