臨床法医科

概要

 臨床法医科の主な業務は、医師法では異状死と呼ばれる通常とは異なる形で亡くなられた方の死亡原因を解明することにあります。その手段としての法医解剖は、犯罪に関連した疑いのあるご遺体を対象とする司法解剖と、犯罪性とは関係のないご遺体を扱う承諾解剖および警察署長権限解剖に分けられます。具体的には、原因不明の突然死、独居者の死亡発見、交通事故、自殺、犯罪に関連した死亡、薬毒物中毒による死亡、身元不明者、労働災害、診療に関連した予期しない死亡などが含まれます。当診療科は神奈川県内では西部地域を担当しており、主に神奈川県警や第三管区海上保安本部からの依頼に基づき、年間200~300件の解剖検査を3名の認定医と3名の技術職員を中心に実施しています。その他、親子鑑定や個人識別の目的で、DNA鑑定を実施することもあります。現在は、病理組織診断、DNA解析、薬毒物検査、死後画像診断を中心に、診断技術の向上といった課題に対して検討を重ねています。

ご挨拶

 臨床法医科では、異状死と呼ばれる不慮に亡くなられた方に対して、死亡の原因を解明することを主な業務としています。司法の用語では変死とも呼ばれますが、全死亡者数の15%程度を占めるとされ、現実には決して稀な出来事ではありません。検査の手法としては解剖を中心に行いますが、関連して病理組織検査やDNA鑑定などの業務も独自に実施しています。法医学というと社会的な活動や役割を担う印象が強く、一般診療にはなじまない部分もあるかもしれませんが、東海大学医学部付属病院では、全国に先駆けて診療科として認められ活動しています。

臨床法医科科長
大澤 資樹