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歯科口腔外科
診療内容
口腔外科では口腔内および口腔周囲の症状を対象にしていることから、外科的および内科的な広範囲にわたる疾患を診断・治療しています。必要に応じて内科、外科、耳鼻咽喉科、頭頸部外科、形成外科、放射線科、小児科、麻酔科、リハビリテーション科などの専門各科へのコンサルテーションを行い、チーム医療を実践しています。多くの場合、紹介元の歯科の先生方に術前・術後の処置や補綴・保存などの一般歯科治療の継続をお願いしています。また、医科の先生方には基礎疾患の管理などをお願いしています。経過観察についても紹介してくださった先生方と連携して行っています。近隣歯科医師会および医師会と協力し、地域連携に基づいた急性期病院として、そして高度な医療を提供する特定機能病院としての役割を果たすために努力しています。主な対象疾患
抜歯、炎症、顔面・口腔内の外傷、舌痛症、顎関節症、嚢胞性疾患、顎変形症、良性腫瘍、悪性腫瘍などの口腔内および口腔周囲に症状を現す疾患を診療しています。また、化学療法による口腔粘膜炎、骨粗鬆症やがん骨転移治療に用いるビスホスホネート製剤による顎骨壊死などのような全身疾患に伴って出現する口腔疾患も診療しています。主な診療実績
口腔外科の年間初診患者数は約8000人であり、その約60%が歯科医師および医師からの紹介です。外来診療としては、抜歯、歯性感染症、外傷、顎関節症、口腔粘膜疾患、神経疾患、インプラント治療、全身疾患に伴う口腔症状、術後経過観察などが挙げられます。入院診療としては、年間入院患者数は約450人で、そのうち全身麻酔手術症例数は約300例です。全身麻酔手術症例の内訳は悪性腫瘍手術42%、嚢胞・良性腫瘍手術37%、外傷11%、顎変形症5%、炎症性疾患5%です。入院での診療として、まず抜歯や小手術のための短期入院手術があります。当科では通常の外来手術に加えて、短期入院で静脈内鎮静法を併用することにより患者さんの恐怖心・疼痛などの苦痛を軽減する治療を行っています。また、当科における口腔扁平上皮癌一次治療症例数は年間約100人であり、全国的にも有数の症例数です。患者さんとご家族のQOLを改善することを目的とし、十分なインフォームドコンセントを行ったうえで治療計画を立案しています。当科では手術療法を選択される例が多くみられますが、手術の際には神経を徹底的に温存することにより機能温存と根治性の両立を実現しています。また高度進展癌や他院から依頼された再発例においては根治性の高い拡大切除術を行っています。口腔癌手術は年間約100件でその1/3が遊離皮弁を用いた即時再建手術を行っています。我々は、咬合、咀嚼、嚥下、発音、構音などの機能温存を考慮した治療を積極的に行っています。また、手術や外傷などで失われた歯列・顎骨の形態と咬合・咀嚼機能の両方を再建することにより、患者さんの機能性と審美性の両面の回復、さらにはQOLの改善を目指しています。
ご挨拶
当院の口腔外科は歯科および医科からの御紹介が約7割で、治りにくい口内炎、口腔癌、歯肉・顔・首のリンパ腺が腫れる炎症、抜歯後も痛みが続く骨髄炎、口が開きにくい顎関節症など口腔外科疾患の全てを診察しています。病院口腔外科が担う役割は以下の理由で増加しています。口腔腫瘍患者の増加、術後肺炎の減少を目的とする術前口腔機能管理、血をさらさらする抗凝固薬などを服用している患者さんの抜歯などです。当院でも、初診でお待ちいただく時間が増加しており申し訳ございません。待ち時間解消などを含めより充実した診療体制を目指し、検討してまいります。
歯科口腔外科 診療科長
太田 嘉英