東洋医学科

診療内容

 漢方医学はおよそ1500年前に中国から日本に伝わり、独自の発展を遂げた日本の伝統医学です。現在の日本では保険診療で約160種の生薬と147種類の漢方エキス製剤、1 種類の漢方軟膏製剤を用いることができます。
 当院では大学病院の充実した機能を生かして、最先端の現代医療と専門的な漢方医学とを同時に実施できるため、多くの患者様の健康に広く貢献できるものと自負しています。また、当院では医療技術職員として鍼灸師が常勤しており、鍼灸治療を併用することができる点も大きな特色です(自費診療)。現在、患者数は月間約500名、鍼灸治療は約150名で推移しており、院内他科や地域の医療機関からの紹介を中心に診療を行っています。
 2022年に大きく変わった医療制度としてオンライン服薬指導の開始があります。これまでは生薬を扱う薬局がご自宅の近くにないために煎じ薬を用いた治療を行えない方が少なくありませんでした。オンライン服薬指導の開始により遠方の薬局から郵送などで処方を受けとることが可能になったため、煎じ薬による漢方治療が行いやすくなりました。煎じる手間を省くパッキングサービスを行っている薬局もあります。我々はエキス製剤による漢方治療だけではなく、煎じ薬を使った漢方治療にも積極的に取り組んでおります。

主な対象疾患

 漢方医学においては心身一如の考え方に基づき、心と体のさまざまな症状を治療対象としています。もちろん現代医学的な診断・評価は非常に重要ですので、必要があれば当科で西洋医学的な検査を実施したり、院内他科の専門医と連携させていただいたりすることもあります。内科、婦人科、耳鼻咽喉科、皮膚科、整形外科、精神科などの多くの領域の疾患が漢方治療の適応であり、現代医学的な治療が奏功しない症状でお悩みの場合には是非一度ご相談ください。

主な診療実績

 2023年の総患者数は8,376名で、そのうち漢方初診が224名、再診が6,461名、鍼灸は1,691名でした。初診患者の受診経路は、当院の他科からの紹介が57%と最も多く、神経内科、耳鼻咽喉科、乳腺外科、リウマチ内科、総合内科などから多くの紹介をいただいております。近年は悪性腫瘍に対する標準的な治療によって起きる副作用を軽減するために漢方治療を併用したいという方が多く受診されており、専門診療科の医師と連携して診療に当たっております。その他、他院からの紹介が22%、家族・知人からの紹介が13 %、ホームページなどのインターネット情報・院内パンフレット等が8 %となっております。

その他特記事項

漢方診療は全て保険診療で行われますが、鍼灸治療に関しては、保険診療ではなく、自費診療となります。

ご挨拶

新井信教授の定年退官に伴い今年度から東洋医学科の診療科長を拝命いたしました野上達也と申します。よろしくお願いいたします。長年、新井先生の外来に通院して来られた患者様の中には診療科長の交代や主治医の交代を不安に感じる方もおられるかとは存じますが、十分な引継ぎを受けておりますのでご安心ください。 今年度より東洋医学科は谷口大吾准教授お迎えして、新たなスタートを切っております。谷口先生は整形外科学、リウマチ学、心療内科学に精通した漢方専門医で、これまでは京都や福岡でご活躍でしたが、この度私どもの仲間に加わってくださいました。その豊富なご経験を生かして、多くの患者様の健康回復にお力添えいただけるものと期待しております。 当科は開設以来、最先端医療を提供する東海大学医学部付属病院の一つの診療科として、適切な現代西洋医学的診療と伝統的な漢方医学的診療とをバランスよく組み合わせた診療を行ってまいりました。今後もその方針は変わらず、東西の両医学を車の両輪のように存分に活用して、一人一人の患者様にとって最善の医療が提供できるよう尽力したいと考えております。漢方薬による治療は簡便なエキス製剤による治療だけでなく、漢方薬本来の力をしっかりと引き出せる煎じ薬による治療も行うことができます。鍼灸治療は清潔で安全な器具、環境の下で経絡治療を中心とした伝統的な施術を行います。 漢方医学は、皆様が悩んでおられる様々な症状の改善にお役立ていただける医学です。 どうぞお気軽にご相談ください。

東洋医学科 診療科長
野上 達也

医師一覧

医師一覧(PDF:71.2KB)PDFファイルを開きます