ご挨拶
救命救急の現場は、「一瞬の判断」と「総合力」が試される最前線です。東海大学高度救命救急センターは、神奈川県の湘南・県西・県央を担う三次救急の基幹施設として、年間6,600件の救急車搬送と2,400件の重篤患者診療を担っています。我々の高度救命救急センターの最大の特徴は、病院前救急~ER~集中治療とシームレスな『総合型救急医療』を提供していることです。病院前救急としては、陸(救急車・Dr Car・Work Station)、海(洋上救急)、空(Dr Heli)のあらゆる手段を活用し、現場から診療を開始し、患者を迅速に安定化させます。ERでは、各科専門医と共に集学的治療を行い、患者を根本的に治療します。高度救命救急センター入室後は、他職種と連携しながら、“複合的に”高度な集中治療を提供し、患者の社会復帰に全力を注いでいます。
「断らない救急」をスローガンに、24時間365日対応可能な『最後の砦』としての体制を整えております。
高度救命救急センター 所長・診療科長
土谷 飛鳥
診療内容
2002年:厚生労働省から高度救命救急センターの認可を受ける
2002年:神奈川県ドクターヘリ基地病院として認可(神奈川県全域および山梨県南部の救命救急医療に貢献)
【診療チーム体制】
2026年度、東海大学医学部医学科総合診療学系救命救急医学教室全体では50名の医師が在籍し、東海大学医学部付属病院 高度救命救急センターは、教授3名、准教授2名、講師5名、助教5名、臨床助手8名の計24名の医師から構成され、救命救急専門医が臨床研修医・看護師・学生・救急救命士とともに診療チームを構成し、幅広い救急診療にあたっています。ERチームとICU(病棟)チームの2つの診療チームを編成し、救急搬送患者の初療に対応するとともに、緊急外傷手術・外傷IVRを救命救急科で担当しています。専門診療科疾患は各専門診療科に振り分けますが、外傷(急性腹症)・敗血症・中毒・熱傷・PCAS・環境障害・高気圧酸素治療適応疾患・その他重症患者(専門診療科対応困難症例)の入院治療を担当しています。ICU(病棟)チームによる集中治療においては、一般的な集中治療に加えて、VV(A)-ECMO, RRT/CRRT, HBO等の特殊診療を担当しています。
【メディカルコントロール体制】
湘南地区(人口約200万人)のメディカルコントロール協議会の中核病院として、高度救命救急センター内にメディカルコントロール室を設置し、救急隊員が担っている病院前救急医療の質の向上に貢献しています。常時、1名の医師スタッフがメディカルコントロール担当医として従事し、救急救命士を含む救急隊員が行なう医療行為(気管挿管、静脈路確保、薬剤投与、除細動等)に対する指示、指導・助言を行なっています。
【災害医療体制】
災害拠点病院のひとつとして、神奈川県の集団災害医療システムを担うとともに、DMAT(災害医療支援チーム)を編成し、災害発生現場に医療チームを派遣する態勢を整備しています。日本DMAT隊員数25名(医師8名、看護師10名、・業務調整員7名)、DMAT-L隊員数13名(医師4名、看護師4名、業務調整員5名)と常時3チーム程度を派遣できる体制を整えています。
【洋上救急医療】
太平洋上の第二第三管区を航行・操業中の船舶で発生した傷病者を救命するために、海上保安庁・海上自衛隊と協力し診療チームを洋上に出動させています。政府機関の航空機で海上に着水し、船舶から患者を救出し、航空機内で治療を継続しながら当院へ搬送します。沖ノ鳥島(日本最南端の島)・南鳥島(日本最東端の島)よりさらに遠方にも出動します。
【救急救命士教育】
救急救命士の病院実習を受け入れ、彼らにさまざまな病院実習(卒前実習、就業前実習、再教育実習、気管挿管実習〔麻酔科〕、薬剤投与実習)を行うなど、教育にも力を入れています。
主な対象疾患
当科は救命救急専門医以外に、各診療科の専門医による診療応需体制が整備されており、高度救命救急センターの対象となる、以下の重篤な病態を呈する重症患者への迅速な対応が可能になっています。
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心肺停止 |
意識障害 |
ショック |
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多発外傷 |
重症熱傷 |
急性中毒 |
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指肢切断 |
脳血管障害 |
虚血性心疾患 |
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不整脈 |
呼吸不全 |
急性腹症 |
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代謝性疾患 |
急性一酸化炭素中毒 |
ガス壊疽 など |
さらに特殊診療として、スキンバンク、急性中毒診療検査室が設置されているため、重症熱傷や急性中毒への診療能力は非常に優れています。急性中毒診療検査室は、薬毒物の定量分析を実施し中毒治療に貢献するとともに、新しい分析法を開発し中毒病態の解明を進めています。急性一酸化炭素中毒、ガス壊疽や潜水病等に対しては、5名同時収容の大型の高気圧酸素治療装置を使い、高気圧酸素治療を常時迅速に実施できる24時間診療システムが整備されており、県内だけでなく静岡県や埼玉県からも重症治療に利用いただいています。とくに、ダイビングのメッカである伊豆半島の東・南伊豆で発生した潜水病等の減圧障害に対応するため、ドクターヘリをも活用した緊急再圧治療システムを確立しています。
主な診療実績
診療実績(2025年)
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6,618 人 救急車受入数 |
2,387 人 重篤患者数
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1)疾患別 重症患者数(2025年 1月〜12月)
疾患名 |
患者数 |
退院・転院 |
死亡 |
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病院外心停止 |
275人 |
21人 |
254人 |
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重症急性冠症候群 |
161人 |
140人 |
21人 |
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重症大動脈疾患 |
113人 |
92人 |
21人 |
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重症脳血管障害 |
156人 |
120人 |
36人 |
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重症外傷(計) |
660人 |
632人 |
28人 |
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うちMax AIS≥3 |
342人 |
327人 |
15人 |
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うち緊急手術のみ |
126人 |
126人 |
0人 |
|
うちAIS≥3かつ緊急手術 |
192人 |
179人 |
13人 |
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重症熱傷 |
54人 |
52人 |
2人 |
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重症急性中毒 |
44人 |
43人 |
1人 |
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重症消化管出血 |
86人 |
83人 |
3人 |
|
敗血症(敗血症性ショック含む) |
95人 |
64人 |
31人 |
|
重症体温異常(熱中症・低体温症) |
66人 |
58人 |
8人 |
|
特殊感染症(ガス壊疽・壊死性筋膜炎等) |
51人 |
46人 |
5人 |
|
重症呼吸不全 |
160人 |
129人 |
31人 |
|
重症急性心不全 |
144人 |
131人 |
13人 |
|
重症出血性ショック |
48人 |
42人 |
6人 |
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重症意識障害 |
69人 |
55人 |
14人 |
|
重篤な肝不全 |
6人 |
1人 |
5人 |
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重篤な急性腎不全 |
29人 |
23人 |
6人 |
|
その他の重症病態 |
242人 |
227人 |
15人 |
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合 計 |
2,387人 |
1,913人 |
474人 |
※ その他の重症病態:重症膵炎、内分泌クリーゼ、溶血性尿毒症性症候群等に対して持続動注療法・血漿交換・手術を施行した症例を含む。
※ 上記疾患には熱射病、偶発性低体温症、窒息・溺水、減圧障害等の重症患者を含む。
ワークステーション件数(2024年度):113件
洋上救急件数(2024年度):5件
2)ドクターヘリにより搬送された疾患別の患者数(2025年度)



3)高度救命救急センター施設
○1階
*救急処置室、救急診察ブース〔6ブース〕、緊急手術室、スタッフステーション、家族控室、医師控室、救急隊員控室
*CT、MRI、血管撮影室、単純X線撮影室
○2階
*E-ICU(救急専用集中治療室)19床
*熱傷センター3床
*E-HCU(救急専用重症治療室)36床
医師一覧
センター:0463(93)1121(代表)
守田 誠司(もりた せいじ)教授(主任)副院長
| 専門分野 | 救命救急科 |
|---|---|
| 専門医 | 日本救急医学会指導医・救急科専門医/日本外傷学会専門医/日本熱傷学会専門医/日本外科学会認定医/東海ER Vascular IVR認定医/統括DMAT登録者 |
| 特に専門とする領域 | 重症外傷、重症熱傷、環境障害、IVR、PCPS |
土谷 飛鳥(つちや あすか)教授 高度救命救急センター所長・診療科長
| 専門分野 | 救命救急科 |
|---|---|
| 専門医 | 日本救急医学会指導医・救急科専門医/日本外傷学会専門医/日本外科学会専門医/日本集中治療医学会専門医/日本IVR学会専門医/日本航空医療学会認定指導者/日本臨床疫学会認定専門家/社会医学系専門医協会専門医/日本プライマリ・ケア連合医学会認定医/統括DMAT登録者 |
| 特に専門とする領域 | 重症外傷、ドクターヘリ |
網野 真理(あみの まり)教授
| 専門分野 | 救命救急科、循環器内科 |
|---|---|
| 専門医 | 日本内科学会認定医/日本循環器学会専門医/日本不整脈心電学会専門医/日本抗加齢医学会専門医/日本人間ドック・予防医療学会認定医/日本医師会認定健康スポーツ医/日本医師会認定産業医 |
| 特に専門とする領域 | スポーツ循環器、予防医学、不整脈 |
梅澤 和夫(うめざわ かずお)准教授
| 専門分野 | 救命救急科、感染症 |
|---|---|
| 専門医 | 日本救急医学会救急科専門医、インフェクションコントロールドクター、統括DMAT登録者 |
| 特に専門とする領域 | 重症外傷、重症熱傷、集中治療、敗血症 |
斉藤 剛(さいとう たけし)准教授
| 専門分野 | 救命救急科 |
|---|---|
| 専門医 | 法中毒 |
| 特に専門とする領域 | 急性中毒、法中毒、薬毒物分析 |
山本 理絵(やまもと りえ)講師
| 専門分野 | 救命救急科 |
|---|---|
| 専門医 | 日本救急医学会指導医・救急科専門医/日本高気圧環境・潜水医学会専門医/日本中毒学会クリニカル・トキシコロジスト/統括DMAT登録者 |
| 特に専門とする領域 | 急性中毒、救急医療体制 |
青木 弘道(あおき ひろみち)講師 高度救命救急センター次長
| 専門分野 | 救命救急科 |
|---|---|
| 専門医 | 日本救急医学会指導医・救急科専門医/日本外科学会外科専門医/日本外傷学会専門医/日本熱傷学会専門医/統括DMAT登録者/東海ER Vascular IVR認定医 |
| 特に専門とする領域 | 重症外傷、消化器外科疾患、集中治療 |
三浦 直也(みうら なおや)講師
| 専門分野 | 救命救急科 |
|---|---|
| 専門医 | 日本救急医学会指導医・救急科専門医/日本集中治療医学会専門医/日本DMAT隊員 |
| 特に専門とする領域 | 集中治療 |
渡邊 伸央(わたなべ のぶお)講師
| 専門分野 | 救命救急科 |
|---|---|
| 特に専門とする領域 | 基礎研究 |
西野 智哉(にしの ともや)講師
| 専門分野 | 救命救急科 |
|---|---|
| 専門医 | 日本救急医学会指導医・救急科専門医/日本集中治療医学会専門医/日本高気圧環境・潜水医学会専門医/日本航空医療学会認定指導医/神奈川DMAT隊員 |
| 特に専門とする領域 | 救急、外傷初療、心肺蘇生 |
上畠 篤(うえはた あつし)助教
| 専門分野 | 救命救急科 |
|---|---|
| 専門医 | 日本救急医学会救急科専門医/日本外科学会専門医/日本腹部救急医学会認定医/日本ACS外科認定医/日本DMAT隊員 |
| 特に専門とする領域 | 重症外傷、集中治療、救急初療 |
迫田 直樹(さこた なおき)助教
| 専門分野 | 救命救急科 |
|---|---|
| 専門医 | 日本救急医学会救急科学専門医/日本外科学会専門医/日本腹部救急医学会認定医/日本DMAT隊員 |
| 特に専門とする領域 | 重症外傷、集中治療、救急初療 |
武田 道寛(たけだ みちひろ)助教
| 専門分野 | 救命救急科 |
|---|---|
| 専門医 | 日本救急医学会救急科専門医/日本外科学会専門医/神奈川DMAT隊員 |
| 特に専門とする領域 | 重症外傷、集中治療、救急初療 |
大川 真代(おおかわ まよ)助教
| 専門分野 | 救命救急科 |
|---|---|
| 専門医 | 日本救急医学会救急科学専門医/神奈川DMAT隊員 |
| 特に専門とする領域 | 集中治療、救急初療 |
足立 基代彦(あだち きよひこ)助教
| 専門分野 | 救命救急科 |
|---|---|
| 専門医 | 日本外科学会専門医 |
| 特に専門とする領域 | 集中治療、救急初療 |
堀田 和子(ほった かずこ)助教
| 専門分野 | 脳神経外科・集中治療・救命救急科 |
|---|---|
| 専門医 | 日本脳神経外科学会専門医・指導医/日本脳神経外傷学会専門医・指導医・評議員/日本脳神経外科学会神経内視鏡技術認定医/日本脊髄外科学会脊椎脊髄外科認定医・専門医/日本脳卒中学会専門医・指導医/日本認知症学会専門医・指導医/日本頭痛学会専門医・指導医/日本集中治療医学会集中治療専門医/日本外傷学会専門医・評議員/日本リハビリテーション医学会認定臨床医/臨床神経心理士/日本産業衛生学会産業医/日本医師会認定産業医/公益財団法人日本スポーツ協会公認スポーツドクター(神奈川県サッカー協会 医科学委員会 所属)/災害医療学会災害医療コーディネーター |
| 特に専門とする領域 | 脳神経外科手術・管理、集中治療・救急医療 |
中原 誠司(なかはら せいじ)臨床助手 外科専門医ダブルボードプログラム
日水 直輝(ひみず なおき)臨床助手 内科専門医ダブルボードプログラム
𠮷澤 雪絵(よしざわ ゆきえ)臨床助手
鈴木 瑚子(すずき ここ)臨床助手
秋葉 眸玖瑠(あきは めぐる)臨床助手 整形外科専門医ダブルボードプログラム
イリエ 美莉(いりえ みり)臨床助手
飯野 亮(いいの りょう)臨床助手 山梨大学附属病院より出向中
中村 伊吹(なかむら いぶき)臨床助手 藤沢市民病院より出向中
