整形外科

診療内容

 整形外科は骨・関節のみではなく、脊椎、脊髄、末梢神経、筋、靱帯を含めた極めて広い対象を扱う診療 科です。単に手術療法のみではなく、各種の保存療法、とくにリハビリテーションセンターとは密接な連携 をとりながら診療をすすめています。主な対象疾患は下記の通りですが、その他にも先天性疾患、炎症、骨 粗鬆症、加齢性変性、代謝性・麻痺性・筋原性・リウマチおよび類縁疾患などを含みます。
東海大学医学部付属病院は、神奈川県西部唯一の3 次救急施設で、ドクターヘリを有し、重症外傷患者が 県内外を含めた広いエリアから搬送されてきます。そのような背景のもとに、当科では四肢と脊椎の専門的 な手術を年間約1,850件(脊椎:約420件、上肢:約580件、下肢:730件、骨軟部腫瘍:120件)を手がけて おり、この中には大学病院には珍しく外傷の緊急手術も数多く含まれています。また、スポーツの分野では 一流選手を多く輩出している柔道、テニス、野球、ラグビー等の選手の怪我治療を行っており、スポーツ医 学にも力をそそいでいます。
時代とともに整形外科の中にも専門分化がすすみ、各分野での進歩につながりました。しかし当科では常 に「分化と統合」を忘れることなく毎日の診療を遂行しております。現在のスタッフ17名と臨床助手および 大学院生で診療をとり行っています。

主な対象疾患

脊椎・脊髄疾患

脊椎脊髄外科では特に、腰部椎間板ヘルニア、すべり症などの腰椎変性疾患、脊柱側弯(そくわん)症などの脊柱変形、脊髄腫瘍、頚椎症や後縦靭帯骨化症による頚部脊髄症などが頻度の高い疾患です。また、救命救急センターを経由して搬送される脊椎脊髄外傷例の治療も私達の大きなフィールドです。脊椎脊髄外科疾患、外傷のすべてに対応できるスタッフを配置し、脊椎低侵襲手術にも取り組んでおります。

関節疾患

  • 膝関節疾患およびスポーツ障害
  •  膝関節手術ではスポーツ外傷によるものが多く、膝十字靭帯損傷、半月板損傷、離断性骨軟骨炎、膝蓋大腿関節亜脱臼障害が主です。その他関節リウマチや変形性関節症に対し人工関節置換手術を数多く実施しています。また、膝関節周囲の複雑な外傷例も多く、特殊な創外固定や骨再生治療の一環として大きな長幹骨欠損部に対する骨延長術も実施しています。
    • 肩関節疾患
    •  難治性肩関節周囲炎(五十肩)をはじめ、肩腱板断裂、肩関節不安定症、投球傷害肩に対しては、関節鏡を主体とした治療を行っています。上腕骨近位端骨折、リウマチ肩変形性肩関節症には積極的に人工物置換手術を行っております。

  • 股関節疾患
  •   股関節の疾患では、主に臼蓋形成不全症、変形性股関節症、大腿骨頭壊死症を扱っています。青壮年者の臼蓋形成不全症、変形性股関節症や大腿骨頭壊死症には、寛骨臼回転骨切り術や大腿骨の骨切り術を行っており、高齢者の変形性股関節症には人工股関節置換術を施行しています。

手・肘の外科、末梢神経疾患

肘から手指の骨・関節、末梢神経を含む軟部組織の外傷・疾患を対象にしています。三角線椎軟骨損傷や離断性骨軟骨炎などの手肘の関節疾患に対し関節鏡を併用した低侵襲手術に取り組んでいます。

骨軟部腫瘍

骨・軟部腫瘍における診断治療の進歩は著しいが、稀な上に鑑別を要する疾患も多いため、診断が難しい場合があります。当科では最新の画像診断と病理学部門の協力による組織診断をもとに、良悪性を厳密に鑑別して治療方針を決定しています。

主な診療実績

脊椎・脊髄疾患

椎間板ヘルニアに対し、顕微鏡下ヘルニア摘出術や内視鏡的ヘルニア摘出術を実施しています。腰椎変性疾患や側弯(そくわん)症では最先端のインストゥルメンテーション技術や3DCT画像に基づくナビゲーションシステム、脳脊髄刺激モニタリングの使用によって合理的な神経除圧、確実な骨癒合、良好な変形の矯正が得られています。脊髄腫瘍の手術例は髄外腫瘍、髄内腫瘍共に過去数年間に飛躍的に増加し、顕微鏡下手術により良い結果が得られています。頚髄症に対しては東海大学式の拡大術を考案実施しています。また、日本脊椎脊髄病学会認定脊椎脊髄外科指導医が6名おります。
いずれの疾患でも手術法の改良により、術後安静期間の著しい短縮化が実現、頚椎腰椎疾患では術後2日での歩行も可能となっています。

関節疾患

  • 膝関節疾患およびスポーツ障害
  •  膝関節、足関節の手術は関節鏡視下の手術を基本とし、膝前十字靭帯損傷には半腱様筋腱を用いた解剖学的2重束再建術を主に行っており、症例に応じて骨付き膝蓋腱を用いた解剖学的再建術も施行しております。また反復性膝蓋骨脱臼に対する内側膝蓋大腿靭帯再建術や足関節靭帯再建術なども行っております。また半月板損傷に対しては極力縫合を行い、変形性膝関節症への進行を予防しています。人工膝関節全置換術は最小侵襲手術(皮膚切開長7-10cm)にて行っており、術後の早期退院(術後2週間)、早期社会復帰を心掛けています。また両側例では、必要に応じて両側同日手術も行っています。

 ※先進医療B(自己細胞シートによる軟骨再生)治療[一部公的保険適用外]
  変形性膝関節症の軟骨欠損に対して高位脛骨骨切術と併せて自己細胞シート移植をする治療法です。
 ※PRP(多血小板血漿)治療[一部公的保険適用外]
  ご自身の血液からPRPを抽出(炎症を防ぐ液性の成分、細胞・血管を元気にさせる成分等)→抽出した
  PRPを関節内に投与
この治療法により、膝・肩・股関節の疼痛緩和、滑膜の炎症抑制、軟骨の分解抑制が期待されます。当院において、すでに100名程の施術実績があります。
  • 肩関節疾患
  •  いわゆる「五十肩」の中には腱板断裂、肩不安定症をはじめとした診断・治療の難しい疾患が含まれていることが分かってきました。また、最近のスポーツ障害の急増に伴い、throwing athleteの肩関節障害にも取り組んでおり、超音波断層撮影、MRIを駆使し、肩関節不安定症には関節唇修復、関節包縫縮術を行い、再発率は5%以内、スポーツ復帰率は80%の好成績を上げています。多くの肩関節疾患では関節鏡下手術がその中心となっています。転位の著しい上腕骨近位端粉砕骨折に対しては人工骨頭置換術を行い早期から良い成績を上げています。また、リウマチ、変形性肩関節症には人工肩関節置換術を行い良い結果を得ています。

  • 股関節疾患
  •  寛骨臼回転骨切り術・大腿骨の内反、外反、回転骨切り術や人工股関節置換術の手術の輸血は全例に自己血 輸血を行っています。当科では、寛骨臼回転骨切り術では、術後の抜釘術が不要である生体内吸収性スクリュ ーを用い、また人工股関節置換術では、術後のリハビリテーションの迅速化を図り術後3 週間で退院できるよう に努めています。先天性股関節脱臼の早期発見の為に当院での全出生児に新生児健診と3 ヶ月健診を行い、治 療は外来での装具療法で90%以上が整復されており、難治例には入院での牽引療法や手術的治療を行っています。

    手・肘の外科、末梢神経疾患

     橈骨遠位端骨折は、ロッキングプレートを用いた固定術を行い、早期から手関節のリハビリテーションを行っています。手根管症候群は、局所麻酔による日帰り手術で行っています。四肢の抹消神経損傷に関しては、顕微鏡下の縫合術や移植術を行っています。

    骨軟部腫瘍

     当院の悪性骨、軟部腫瘍の治療は外科的治療だけではなく、化学療法や放射線治療などの補助療法の併用により生命予後が著しく改善しており、患肢温存や機能再建手術を目指します。また他科との連携が極めて良好であり、集学的治療が可能となっています。

    ご挨拶

     整形外科では運動器に伴う痛みや障害を治療しますので、赤ちゃんからお年寄りまで多くの患者さんを拝診させていただいております。特に、平均寿命が延び高齢化社会が到来しましたが、運動器の障害で不自由な生活や介護が必要になるお年寄りが増えています。健康で楽しい生活を過ごせる健康寿命を延ばすことが大切だと考えています。当科では、脊椎・脊髄疾患、手の外科疾患、肩関節疾患、股関節疾患、膝関節疾患、骨・軟部腫瘍、三次救急病院であることから高度外傷、それぞれを専門とするスタッフが、それぞれの患者さんの病態や生活背景に合わせた治療法を選択し治療に当たっています。さらに、大学病院であることから、患者さんのご了解が得られた場合には、より良い治療につながるよう学会報告と論文発表をしています。多くの患者さんが笑顔で日常生活やスポーツ活動に復帰するお手伝いをしたい、私たち整形外科スタッフの気持ちです。どうぞお気軽に御相談ください。

    整形外科 診療科長
    佐藤 正人

    医師一覧

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