ここから本文です
乳腺外科
診療内容
当科は乳腺の悪性疾患から良性疾患まで対応し、乳腺専門医5名を中心に乳癌の診療をしています。また がん薬物療法専門医3名が所属しており、その他の悪性腫瘍の薬物療法も行っております。悪性疾患の診断 時から終末期に至るまでの患者さんやそのご家族も含めた身体的・精神的な緩和ケアを積極的に行い、安心 して癌の治療を受けられるような診療に努めています。また、遺伝子診療科と連携し、家族性腫瘍、がんゲノム検査にも対応 しています。<乳腺疾患>
乳癌の診断・治療は専門性が重要で、内容は日々進歩しています。神奈川県西部地域では当 院がその中心的役割を担っています。乳腺疾患治療方針は乳腺専門医を中心として、病理専門医、放射線専 門医、撮影認定診療放射線技師、超音波検査技師と共に合同カンファレンスを毎週行い、チーム医療を行っ ています。<診断>
必要に応じて初回の受診時にマンモグラフィ・乳房超音波検査、細胞診や組織診を行い迅速な診断を心がけています。<手術・術後療法>
手術は本人に病名を告知し、術前に高分解能乳房MRI検査を行い適切な切除範囲を決定、乳房温存術と乳房切除術の利点・欠点を御説明し、患者さん本人には可能となる術式を提示し、選択していただいています。術中・術後の詳細な病理学的検索から、科学的根拠に基づいた積極的な術後薬物療法を全て通院で行っています。また、乳房再建のご希望がある場合は、形成外科と共に腹直筋、広背筋皮弁再建やインプラント再建を行っています。<進行・再発乳癌治療>
進行・再発乳癌の治療も最新の科学的根拠に基づく治療を原則としつつ、個々の患者さんの希望や状況を考慮したテーラーメード治療を行っています。また新規薬剤の開発試験や世界規模の多くの臨床試験に参加しており、他の施設に比較して治療の選択肢 が多くなり、既存の治療の無効症例に対する治療成績の向上に努めています。
<がんゲノム医療>
がんゲノム医療とは個別化医療の一つであり、患者さんのがん細胞を用いて遺伝子の変化を調べ、一人一人のがんの特徴に合わせ治療を行います。当院当科では乳癌のみならず様々な悪性腫瘍のがんゲノム医療に携わり、患者さんのがんの性質に合わせた治療の選択、提案をしています。主な対象疾患
─乳腺疾患─
早期乳癌、進行・再発乳癌、乳腺症、乳腺炎、乳腺膿瘍、乳腺線維腺腫、葉状腫瘍、女性化乳房症、など─その他悪性腫瘍─
原発不明癌、甲状腺癌、その他悪性腫瘍に対する薬物療法主な診療実績
当科は乳腺の悪性疾患から良性疾患まで対応し、とくに乳癌を中心に診療しています。2023年の当科の年間手術症例数は357件(全身麻酔での乳癌手術322例)であります。乳房温存術126例、乳房切除術196例(乳房再建44例)、センチネルリンパ節生検252例を行いました。外来新患者数は780名となっております。外来化学療法は、快適な設備が整った外来化学療法センターで、専任の医師・看護師・薬剤師による安全で確実、かつ迅速な治療を行っています。2023年での治験受託件数23件、現在多くの臨床試験、治験が進行中であり特に進行・再発乳癌、ルミナール早期乳癌の治験が多くなっています。ご挨拶
当診療科は、日本乳癌学会および日本乳癌検診学会の精密検査実施機関としての必要条件を満たしており、年間約300人の乳がん患者さんの手術を行っています。また、全国から進行・再発乳がん患者さんの紹介を受けて治療にあたっています。科学的根拠に基づく診療を行うことを原則としており、日本における乳がん診療ガイドラインの作成にも関わっています。免疫療法や分子標的療法では、先駆的な立場にあり、新しい治療薬や診療技術の開発に積極的に参加しています。患者さんの治療方針は、病理診断、放射線診断、超音波診断などの部門と合同カンファレンスを行い決定しています。採取されたがん組織から免疫組織化学、分子生物学的方法により様々な予後因子の解析を行います。そして、本人、家族と相談の上、再発予防の補助療法を行っています。また、再発の患者さんに対しても、積極的な治療戦略を立て、良好な治療成績を得ております。
乳腺内分泌外科 診療科長
新倉 直樹