呼吸器内科

診療内容

呼吸器内科では、肺癌を含む腫瘍性疾患、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、呼吸器感染症、睡眠呼吸障害、間質性肺疾患、肺塞栓症、呼吸不全、稀少肺疾患など呼吸器領域のすべてにわたって幅広い疾患の診断および治療を行っています。治療においては、エビデンスに基づいた世界標準の最新の医療を安全に行うことを目標としています。肺癌の診断に欠くことができない気管支鏡検査を含め、正確かつ迅速な診断を行い、呼吸器外科、放射線治療科、病理診断科との密接な連携のもと、可能な限り早期の治療導入を心掛けています。肺の画像診断はもちろん、各種肺疾患の機能面での評価を行う為の特殊肺機能検査、呼吸抵抗検査も充実しています。睡眠呼吸障害センターを併設し、睡眠時無呼吸症候群の診断と治療を行っています。

主な対象疾患

Ⅰ.喘息などのアレルギー疾患
Ⅱ.COPDなどの閉塞性肺疾患
Ⅲ.肺炎などの呼吸器感染症
Ⅳ.肺癌などの腫瘍性疾患
Ⅴ.睡眠呼吸障害
Ⅵ.肺線維症、サルコイドーシスなどの間質性肺疾患
Ⅶ.胸水、気胸などの胸膜疾患
Ⅷ.じん肺などの職業性呼吸器疾患
Ⅸ.肺塞栓症などの肺血管性疾患

主な診療実績

喘息およびアレルギー疾患:

日本アレルギー学会指導医・専門医が、標準治療では症状・肺機能が正常化し ない症例についても病態に応じたきめ細かい個別化治療を実施しコントロールをはかります。抗IgE抗体、 抗IL-5抗体など最新の生物製剤による治療も可能です。類縁疾患のアレルギー性気管支肺真菌症などについても豊富な経験があり、全国レベルの臨床研究における代表施設としても積極的に新しい診断・治療に取り組んでいます。

慢性閉塞性肺疾患:

呼吸機能検査、画像検査などを用いて適切に診断し、近年急速に充実してきた吸入薬な どの薬物治療を個々に合わせて選択することで、快適な日常生活をおくれるようにするとともに、増悪の予 防を目指しています。慢性呼吸不全の患者さんに対する在宅酸素療法、在宅人工呼吸療法の指導・管理にも、 コメディカルと密接に協力して取り組んでいます。

呼吸器感染症:

肺炎、肺化膿症、膿胸、気管支拡張症に伴う慢性下気道感染症、真菌(カビ)などの日和見 感染、肺結核(排菌陰性の場合)、肺非結核性抗酸菌症といった呼吸器感染性の診断と治療を行っています。 エンピリック治療(原因菌の予測に基づく治療)だけでなく、原因菌の特定のために必要であれば気管支鏡 検査も行い、薬剤感受性に応じた適正な抗菌薬治療を行っています。但し、当院は感染性のある排菌陽性肺 結核症例の入院施設がないため、排菌のある肺結核患者さんは結核専門施設へご紹介することとなります。

肺癌などの腫瘍性疾患:

原発性肺癌、転移性肺癌、過誤腫などの肺良性腫瘍、悪性胸膜中皮腫などの診断、 治療を行っています。原発性肺癌をはじめとした肺腫瘍病変の確定診断には、主に気管支鏡下肺生検を行い ますが、一部の肺腫瘍や悪性胸膜中皮腫については、呼吸器外科との連携のもと胸腔鏡下生検を行うことも あります。腫瘍性疾患では、上述の組織検査(遺伝子検査を含む)と全身精査を行った上で、手術、 放射線治療、化学療法、免疫療法などの治療方針を呼吸器外科、放射線治療科との緊密な連携のもとに決定してい ます。原発性肺癌の内科的治療は、分子標的治療薬、抗がん剤を用いた化学療法、免疫チェックポイント阻 害薬などを用いた免疫療法などが第一選択となりますが、病理検査結果やガイドラインだけでなく、患者さんの 全身状態などを考慮して、適正な薬剤を選択しています。初回の化学療法は患者さんの身体機能や副作用を 十分評価するために入院で行いますが、2 回目以降は積極的に外来化学療法も導入しています。

睡眠呼吸障害:

睡眠時無呼吸症候群、ナルコレプシーは過眠症を起こし、また、不眠症も大きな問題です。 特に睡眠時無呼吸症候群は高血圧、狭心症、心筋梗塞、脳血管障害、糖尿病等を含む多くの疾患の悪化にか かわるため、その診断と治療は益々重要となっています。睡眠呼吸障害センターでは、睡眠時無呼吸症候群 の診断と治療のため、携帯型PSG、短期入院による精密検査・経鼻持続陽圧呼吸療法(n-CPAP)導入を 行っています。なお睡眠時無呼吸症候群以外の睡眠障害(ナルコレプシーなど)診療は現在行っておりません。

間質性肺疾患:

特発性肺線維症(IPF)に代表される特発性間質性肺炎および、それらの急性増悪/急性呼 吸不全をはじめとして、膠原病にともなう間質性肺炎、過敏性肺炎、薬剤性肺障害、好酸球性肺炎、サルコ イドーシスなどの間質性肺疾患に対して、高分解能CTを用いた画像診断、気管支鏡下肺生検、気管支肺胞 洗浄、呼吸器外科との緊密な連携のもとでの胸腔鏡下肺生検などによる確実な診断を行い、新規治療薬も含 めた適切な治療を行っています。患者さんになじみのない病名が多い領域でもあり、わかりやすい説明を心 がけています。

気管支鏡検査:

気管支鏡検査は年間600件程度実施しており、肺悪性腫瘍、間質性肺炎などのびまん性肺疾患、 肺抗酸菌症やその他の原因不明の肺感染症などの診断に用いられています。超音波プローブを併用した肺生 検(EBUS-GS)、超音波気管支鏡を用いた針生検(EBUS-TBNA)など最新の診断手技に加え、日本呼吸 器内視鏡学会専門医/指導医による気管支充填術(EWS)、気管支腫瘍のレーザー治療、気管支異物除去、 気管狭窄に対するステント挿入術などの治療手技も行っています。

ご挨拶

当院の呼吸器内科には、呼吸器内科全般の深い知識・豊富な経験を兼ね備え、肺癌やアレルギー、睡眠呼吸障害、気管支内視鏡検査などの分野のエキスパートでもあるスタッフ医師が揃っています。さらにここ数年で多くの熱意あふれる若手医師が加わり、どのような呼吸器疾患の患者さんのニーズにも高いレベルで応えられるような体制が整いました。同時にスタッフ一同、“病気”だけではなく“病める人”を診るよう心がけ、皆様が健やかな生活を取り戻すお役に立ちたいと考えております。いつでも安心してご受診ください。

呼吸器内科 診療科長
小熊  剛

医師一覧

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